気と経絡について
◆ 経絡って何?
皆さんは「経絡図」もしくは「経穴人形」というものを御覧になられたことはありますか?
経穴(けいけつ)即ち、ツボのことですが、このツボを線で結んで描かれているものです。しかし経絡とは気の運行する道筋であり、実際には経絡図などに描かれているような細い筋のようなものではなく、ある一定の幅と深さがあり、全身をくまなく支配していてどの部分を取っても経絡の支配を受けていない所はないのです。そして、経絡にはそれなりの特徴があります。
それではここで、私の所属している滋賀漢方鍼医会が制作・発行した「経絡治療の臨床研究」の中から、少し専門的になりますが、経絡の特徴についてその部分を抜粋して書き出してみたいと思います。
〔経絡について〕
- 「経絡など無い。」と言う人もいるようですが、経絡は明らかに気として感じられますし、触診しても判ります。何より治療に用いて効果があります。
- 経絡はある一定の幅と深さを持っていて、身体どの部分を取っても経絡の支配を受けていない所はありません。
- 経絡はただ単なる気血の通路としてだけでなく、経絡そのものに気血(津液を含む)を巡らすという働きがあります。
- 古典に「環の端なきがごとし」とあるように経絡はすべてがつながっていて、切れ目は無く全身をくまなく巡っています。
- 経絡の中には経脈・絡脈・孫脈があって、体表からいうと皮毛・孫脈・絡脈とあり深い部分が経脈となります。更に深くなると経脈は臓腑とつながっています。
- 経絡を調整することにより、臓腑の病をも治す事ができます。
- 経絡には十二経脈・奇経八脈・十五絡脈・十二経別・十二経筋等があります。
以上、(「経絡治療の臨床研究」より)
私たちはこれら経絡の気の流れを調整するために治療を行うわけですが、経絡上には沢山の経穴(ツボ)が点在しています。本来ツボとは経絡の気が出たり入ったりしている所なのです。ですからツボをうまく利用して治療をすることで全身の経絡の気、即ち12本のエネルギーの流れを調節することができるのです。
〔ちょっと豆知識〕 ☆『図星』
ここで「経穴人形」という物が出てきましたので、それにまつわるお話しを一つしてみます。
『図星』という語源にはいくつかの説がありますが、昔、経穴人形のことを「図法師」と言いました。なぜなら、御覧になられた方はご存知の通り、あ頭はツルツルで、所謂お坊さんですね。その人形にツボや経絡の図が書かれています。だから「図法師」なのです。そこでその人形に書かれている図、即ちツボを捜して目的の経穴(ツボ)をズバリ言い当てるところから『図星』という言葉が産まれたそうですよ。
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