| TOPへ | サイトマップ | 院長ブログ |お問い合わせ |  
一本の鍼に心を込めて気を込めて! 小林鍼灸院 ロゴマーク  
院長の写真
治療方針 院長紹介 研究活動 治療院紹介
TOP > 院長紹介 > エッセイ闘病体験記 > 1.発病から入院まで

エッセイ 闘病体験記

1.発病から入院まで

昭和53年、私は中学2年生となり、1年生の時とは違ってそれなりに学校にも慣れ、部活では卓球部に所属し、先輩としての自覚も少し芽生えながら日々楽しく過ごしていました。夏休みに入ってからも毎日のように学校に出かけ卓球の練習を続けていました。部活が終われば、本来このぐらいの年頃なら腹が減って、それこそ食べている時から腹が減ったというくらい食欲旺盛なはずですが、私はそんな時も食の細い子どもでした。親からは、“もっとちゃんと食べな病気になるで”とよく言われていました。しかし当の本人は気にもせず、むしろ“ちょっとの食事でも人一倍動き回れるんやから重宝ものなんとちゃうの!”なんて子ども心にそんな事を思っていました。

ところが、そんなことも言っておられなくなったのです。口の中には沢山の傷、すなわち口内炎が出るようになりました。それでなくても食の細い私は、痛みのため更に食事が喉を通らなくなりました。元気だけが取り柄とばかり思っていた私も見る見る体力が落ちていき、身体はそれこそガリガリになってあばら骨が浮き上がって見えるほどでした。親もさすがに心配になってきたのか、“本当に悪かったら病院で診てもらわな”と言われていましたが、“大丈夫、大丈夫”とやり過ごしていました。

そして、それは8月の5日のことだったと思います。滋賀県では夏になると、琵琶湖のあちらこちらで花火大会が行われます。私もこの年に家族と親戚の人たちと地元の花火を見に行きました。ドーンと腹に響く大きな音と共に、空に広がる鮮やかな花火は綺麗なはずでしたが、その日私は何となく気分が優れませんでした。それは花火が何故かまぶしく少し霞んで見えるような気がしたからです。勿論、体調も優れず食事の時に鼻血を出してしまいました。なかなか止まらず、困ったのを覚えています。

また、この日と相(あい)前後するように、足や顎などに赤い湿疹が出てくるようになりました。それは日が経つと中心がプクッとふくれてそこからは膿が出てきました。また片方の睾丸が普通の2倍ぐらいに大きく腫れ上がったのです。別に痛みは無かったのですが、場所が場所だけに恥ずかしくて親にも話すことさえできませんでした。それに日が経つと腫れも引き、嘘のように元の正常な大きさにもどってしまったのです。

しかし、それらが原因不明の難病・ベーチェット病の症状であることなど、その時は知るよしもありませんでした。

そうこうしているうちに2学期も始まり、通常の生活にもどったかのように思っていましたが、今思い起こすと、やはり身体は疲れやすく、眼も朝起きて20分ぐらいは霧がかかったように霞み出し、自覚できる症状として感じるようになりました。確実に病魔は忍び寄っていたのです。それでも尚、その時はただの疲れ目だと思って部活動も続けていました。

10月に入ったある日、黒板の文字が見えなくなりました。保健室で視力を測ってみると、右眼は1.0ほどありましたが、左の眼は前にかざされた手の指がやっと数えられるほどでした。それはもう疲れ目という時限を越えていました。

忘れもしませんが、10月13日に学校を早退して大津市内の眼科医で診察を受けました。先生は私の眼を少し診て、“こちらで少し待っていてください”と言われました。そして私の後に来られた患者さんをすべて診察を終了されてから、再び呼ばれて診察を受けました。そしてその後、先生が発した言葉は、“何故、こんなになるまで放っておいたの!?”と、少し強い口調で言われました。自分でもどうしてよいのか分からず、ただいやな事は考えまいとしていたのか、それとも何も考えられなかったのか、今思うとそんな状況だったと思います。

そして紹介状を持って、学生服を着たまま大学病院へ向かいました。大学病院での診察の結果、“このまま2週間ほど入院してください”と言われました。眼の病名は葡萄膜炎(ぶどうまくえん)とのことでした。自分にとっては思いがけない事であり、これからどうなっていくのかと、一抹の不安を抱かざるを得ませんでした。入院の準備も何もしていなかったので、一緒に付き添ってくれた母が家に急ぎ帰って準備を整え、そして私の入院生活が始まったのです。

次へ

プロフィール
 
ブログ
 
エッセイ闘病体験記
 1.発病から入院
 2.入院から失明まで
 3.希望への旅立ち
 
 

■脉診流(みゃくしんりゅう)
  『小林鍼灸院』

・予約制
電話:077-572-3275

・所在地
〒520-0235
滋賀県大津市真野大野2-9-16
・診療時間
9:00〜12:00 / 14:00〜18:30
・休診
日曜日・祝日・年末年始